「推薦では高校や大学の先生に受けが良い子が合格する。とがった学生を得るなら面接は向いていません」
東大医学部出身で精神科医の和田秀樹さんはそう指摘する。自身の経験も踏まえ「むしろペーパー試験のほうがイエスマンではない、おもしろい学生は入りやすい」と言い切る。
「とがった学生」が、東大に魅力を感じるかという問題もある。
海外大学進学の目安とされる世界大学ランキングで、東大は昨年の23位から43位に下がった。アジアではシンガポール国立大学と北京大学に抜かれた。
ベネッセコーポレーションが運営する海外トップ大学進学塾「ルートH」の藤井雅徳さんは言う。
「東大のブランド力が落ちています。うちの生徒は、ハーバード大学などの滑り止めとして東大を受けても、両方受かれば海外の大学を選びます。飛び抜けた生徒は入試方式では大学を選びません。どこがわくわくするか、卒業後もどれだけ多様な経路があるか、ちゃんと見ているんです」
(本誌・長倉克枝)
※週刊朝日 2015年11月27日号