頭には矢。でもニコニコしているので、「安心してください」のようだ。岩出山おっち、本名“落ち武者くん”である。
天正18(1590)年、現在の宮城県の大崎市で起こった葛西大崎一揆。「大崎家四天王」と呼ばれ、大崎家の重臣として一揆に参戦したのが「岩出山おっち」のモデルとなった人物である。戦に敗れ落ち武者になった後、伊達家に仕官し、武将に復帰するが、なぜあえて「落ち武者状態」のチョイスなのだろうか。
「落ち武者時代の戒めとして、そしてインパクトを求めた結果です。毎回、大崎一揆の説明や、その後の出世侍であるという説明をし、地元の歴史を広めています」
と言う“岩出山おっちプロデューサー”は、おっちのモデルとなった武将の子孫である。
「伊達家は絶大な人気がありますが、大崎家は存在すら知らない人が地元にも多く、大崎家のことを広く伝えたいという思いです。どん底の状態から、のちに伊達家の重臣にまでのぼりつめた先祖の姿から、一度だめになっても、這い上がって努力すれば、というメッセージもこめました」
とはいえ、落ち武者である。
「高齢の方に『あなた、お迎えに来たの?』と冗談を言われたことがあります」
岩出山おっちのお友達は、同じ大崎市のイメージキャラ、「パタ崎さん」。ライバル兼親友が、長野県上田市の「真田幸丸」だという。