作家でコラムニストの亀和田武氏は、本誌連載『マガジンの虎』で、今回は雑誌「プレイボーイ」を取り上げた。
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朝日新聞10月14日の夕刊に“米プレイボーイ ヌード載せません”の見出しがあった。記事によれば、来年3月号からヌード写真は同誌から消える。
ニューヨーク・タイムズの取材に「あらゆる性的な画像が無料で見られる時代に、そういう写真はもう古い」とCEOは答えたという。
裸はタダで、ネットで見るもの。確かに現実はそうなんだろうけど、米国「プレイボーイ」CEOの功利主義を前面に出した発言は、なんだかヌードよりエゲツない。
日本版の「月刊プレイボーイ」は、09年1月号で休刊になった。「週刊プレイボーイ」(集英社)は大丈夫か、と危ぶむ声もでるだろう。「週プレ」はこの秋、創刊49周年を迎えた。本家の“金髪ピンナップ”を踏襲した「月刊PB」とは早い時期から一線を画し、カジュアルな誌面を展開したことが生き残りの秘訣か。
深田恭子が表紙の11月9日号には“VW偽装スキャンダル”や“マイナンバー”など他誌と重なる記事もある。しかし“UFO ツチノコ 超能力 埋蔵金 UMA×週プレの49年史”という回顧企画にもページが費やされ、小見出しには“見た!追った!捕まえた!……気がした”とあり、最後の“気がした”のフレーズに、「週プレ」の真髄がある、気がした。
グラドルの水着写真が載る「週プレ」を買うのは恥ずかしく、遠くのコンビニを利用する。グラドル写真がメジロ押しの雑誌を買うなんて、中学生か高校生みたいだろ。
とんだ勘違いだった。コンビニ店員は「あ、またオッサンが買ってくよ」と思っているのだ。「オッサンって、裸や水着が載った古くさい雑誌が、ホント好きだよな」と。
※週刊朝日 2015年11月13日号