世界大学ランキングがダウンした東大 (c)朝日新聞社
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 政府は、産業力強化に向けた大学改革を進め、昨年12月、産業競争力会議(議長・安倍首相)は、国立大学を3分類し、「稼ぐ大学」にするための改革案を発表。同会議には経済再生相などの閣僚のほか、産業界の重鎮がずらりと並んだ。

 こうした、産業力を重視する安倍政権の大学改革には、批判も多い。

 今年6月、当時の下村博文・文科相から各大学に対して出された「教員養成系や人文社会科学系の学部の廃止、転換を含めた組織見直し」の通知が物議をかもし、日本学術会議、大学の学部長などが反対声明を発表した。

「文系を軽視する背景には、一つは財務省からのプレッシャーもある。厳しい国家財政の下でより社会の需要に応える教育が求められている。もう一つは、保守的政治勢力からのプレッシャーがあるのではないか。政権批判をするのはいつも、人文社会科学系の人間ですから……」(科学技術政策に詳しい大阪大学の平川秀幸教授)

 十数年前から「選択と集中」という方針で大学などでの研究を進めてきたが、元凶はここにあるという。

 元三重大学学長で鈴鹿医療科学大学の豊田長康学長は指摘する。

「『選択と集中』はもともと産業界の経営手法で、大学でもうまくいくと多くの人が信じきっていて、これまで検証もせずに進められてきました。だが、その結果として、日本の大学の国際競争力は低下しているのではないでしょうか」

 豊田学長は、研究の競争力の指標である論文数の推移を調べ、ここ10年で日本の大学の国際競争力が低下していることをいちはやく指摘してきた。

「特に工学、物理、化学、物質科学など日本のお家芸と言われていた分野で論文数が減っています。大きな原因は、大学の研究者の研究時間が減っていることです」

 論文数が減少した時期は、2004年の国立大学法人化と重なる。国は、法人化によって大学に民間の経営理念を導入することを促す一方で、大学運営の基盤となる収入で主に教員の人件費として大きな役割を持つ運営費交付金を、毎年1%ずつ削減したのだ。

 04年から三重大学学長を務めた豊田学長は、当時をこう振り返る。

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