ちょっとお茶目で楽しくて、心優しい好青年──役柄のせいか、そんな印象が強い俳優の伊藤淳史さん。大人気俳優なのに、親しみやすさと“いい人”オーラにあふれる伊藤さんだが、作家・林真理子さんとの対談で、子役時代は俳優の仕事にやる気がなかったと明かした。
* * *
林:伊藤さん、お若いのに、キャリアはすごく長いんですよね。
伊藤:3歳で劇団に入りました。おばあちゃんに「あっちゃん、テレビ出たいの?」と聞かれて「うん」と言ったらしくて、おばあちゃんが劇団に応募したらしいです。うちの両親は入れるつもりがなかったみたいです。
林:子役は大成しないとか言いますけど、すごいですよね、今のこのご活躍。
伊藤:この仕事、昔はぜんぜんやる気なかったんですよ。小学校ぐらいからサッカーをやってて、サッカー選手になりたいと思っていたので、子役から続けているって感覚もあまりなくて。友達もふつうの人ばっかりだし、高校のころもこの仕事をしながらバーミヤンという中華レストランでバイトをしたり。
林:バーミヤンというのが、また庶民的な(笑)。
伊藤:たまたま近場にあったので。料理とかもやってみたいなと思って、2年くらい厨房をやりました。
林:大学生のときは?
伊藤:大学のときは、さすがにバイトする時間はなかったですね。経営学部だったんですけど、俳優の仕事を続けたいと思いつつも、もしかしたら経営を学ぶ中で違う仕事をやりたくなるのかなと思ったりもしました。そういう4年間でしたね。
林:お友達から「◯◯のサインもらってきてくれ」とか、「スタジオに連れてってくれよ」みたいなことは言われなかった?
伊藤:サインはしょっちゅう言われました。「もらえるわけないだろう」と言って断りまくって、さすがに言われなくなりましたけど。
林:ふつうの人たちの中に一人だけ芸能人がいると、そうなっちゃいますよね。
伊藤:けっこうシリアスなドラマに出ても、「淳史が出てるだけで、笑いがとまらないよ(笑)」ってLINEが来たりして。こっちはまじめに芝居してるのに、ふざけるなと思うんですけど。
林:伊藤さんって白衣のイメージがあるんですけど、お医者さんの役、多くありません?
伊藤:「バチスタシリーズ」をやらせていただいたからですかね。それも、友達には「白衣着て出てくるだけで笑っちゃう」とか言われるんですけど、そういうことが言える友達っていいなと思ったり、ありがたさも感じてます。
※週刊朝日 2015年11月6日号より抜粋