国民すべてに一生変わらない12ケタの番号が割り当てられ、資産を丸裸にされるマイナンバー制度がいよいよ始まった。「脱税を防ぐ」という国の狙いだけが先走り、約525万人の認知症高齢者が置き去りにされている。このままではオレオレ詐欺犯らの餌食になるというのだ。
今の制度だと、後見人のいない独居認知症高齢者は、自分で通知を受け取り、管理をしなければならないが、そもそも何の通知かすらも理解できないのが現実だという。首都圏で活動する司法書士は警告する。
「一人暮らしの認知症高齢者の場合は、自分の手元にマイナンバーが届いたとしても、それをきちんと保管しておくことができるかが問題です。すぐにゴミと一緒に捨ててしまうかもしれない」
ゴミと一緒に捨ててしまったのであれば、まだいい。
危険なのは、マイナンバーが認知症高齢者を喰いものにしようとする詐欺集団などに渡ってしまうことだ。
「なりすまし」のリスクは、すでに始まっている。
日本弁護士連合会で情報問題対策委員会委員長を務める坂本団弁護士はこう懸念する。
「通知カードを第三者が受け取り、自分の写真を使って個人番号カードを申請すると、その時点でなりすましされてしまう懸念があります。第三者が本人のようにふるまえるようになります。また、お金に困って戸籍を売る人がいるくらいなので、マイナンバーを売るという犯罪に、認知症高齢者が巻き込まれる懸念もあります」