「今年の信州は生産量が多く、4、5年ぶりの当たり年になりそうですよ。市場にたくさん出回っているから、ここ数日で出荷価格は4割くらい下がりました」
肝心の味はどうなのか。京都府内の卸業者は言う。
「ひょろひょろして元気のない年もあるが、今年は茎も太く、ハツラツとしています。生育の時期に雨が多かったおかげでしょう」
現時点では、量も質もよさそうだ。だが、値段は需給バランスで決まる。今後、消費者が一斉に買い出したり、不作に陥ったりすれば、値上げに転じる可能性もある。見通しはどうなのか。斎藤さんは言う。
「これから10月半ばにかけて値上がりするのでは。本当にいい年になるかどうか、今が分かれ目ですよ」
前出の赤坂の料亭でも、「10月上旬を過ぎたら仕入れ値が上がるでしょう。そしたら特売はやめます」との見方をしている。あまり猶予はなさそうだ。せめて本号が書店に並んでいる間は、今の価格帯を維持してほしい。
※週刊朝日 2015年10月9日号
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