埼玉県警の“失態”が続いている。同県熊谷市で14~16日、男女計6人が相次いで殺された事件。県警は、ペルー人の男性(30)の身柄を確保したが、熊谷署は事件前の13日にこの男性を署に連れてきていながら、取り逃がしていたのだ。
県警の説明によると、13日午後1時半ごろ、同市内の消防分署から「言葉の通じない外国人がいる」との通報があり、署員が男性を熊谷署に連れてきた。男性は署員が通訳を手配する間に「たばこが吸いたい」と言って署内の喫煙所で一服した後、付き添いの署員を振り切って逃走した。
翌14日夕、同市見晴町で、無職男性(55)と妻(53)が他殺体で発見された。16日には、同市石原で、女性(84)が浴室で血を流して倒れているのが見つかったほか、近くの住宅で住人の女性(41)と、10歳と7歳の娘が死亡していた。いずれも、ペルー人男性が犯行にかかわった疑いがあるという。
県警は一連の対応に問題がなかったとの見解を示したが、板倉宏・日本大学名誉教授(刑法)は言う。
「大いに問題です。取り逃がさなければ、あんな事態にはならなかった。逃亡後、なぜ追わなかったのか」
渡辺修・甲南大学法科大学院教授(刑事訴訟法)も、
「警察から逃亡した不審者で挙動もおかしかった以上、自殺、事故、犯罪など不測の事態に備え、緊急配備するなど急いで身柄を確保する責任が県警にあった」
と指摘し、こう続けた。