「3件が短期間に起きていて、非常に不自然」(※イメージ)
「3件が短期間に起きていて、非常に不自然」(※イメージ)
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 またか、という印象を持つ人も多いだろう。川崎市幸区の有料老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」で、80~90代の男女3人が相次いでベランダから転落死した問題だ。

 昨年11~12月のいずれも未明に起こっており、指導・監督する川崎市は9月7日に開いた会見で、「3件が短期間に起きていて、非常に不自然」と説明。施設側に改めて原因究明と再発防止を求めた。

 さらに、今年5月、入所者の女性(当時85)の家族から訴えがあり、監査の結果、職員4人が「死ね」と暴言を吐いたり、頭をたたいたりしていたこともわかった。事故の真相は、施設の問題点は。一刻も早い究明が求められている。

 今回の報道で、多くの関係者が危機感を募らせている。それは、特別養護老人ホーム(特養)やグループホームなど公的な施設ではなく、現場が「有料老人ホーム」だったからだ。多額の入居一時金を支払い、安心・安全を買ったはずの施設での問題発覚。だが、その兆候は以前からあった。

 例えば、国民生活センターには有料老人ホームの苦情が寄せられている。そのうち接客対応に関するものでは、2010年度116件、11年度136件、12年度157件、13年度199件、14年度240件と右肩上がりだ。

 現在、有料老人ホームの数は1万件弱。00年に介護保険法が施行されて以降、民間企業の参入が相次ぎ、施設数は爆発的に増加した。今後も新規の企業参入は続くとみられている。

『崩壊する介護現場』の著書もあり、介護現場に詳しいノンフィクションライターの中村淳彦さんは、

「急激な介護業界の拡大によって、人手不足はさらにひどくなっている」

 と指摘する。

 介護の担い手不足は深刻だ。団塊世代が75歳以上になる25年には、介護職は約37万7千人不足するとされるが、介護分野の昨年11月の有効求人倍率は3倍近く。男性ホームヘルパーの平均勤続年数は3.7年と、全産業平均の3割にも満たない(13年「賃金構造基本統計調査」)。

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