前半がアプリの説明で、後半が一般社団法人「あなたの後見人」による「意思登録サービス」についてだった。アプリの配信開始は翌6日で、ぼくもiPadで事前に試そうとしたが、入手できなかった。
IT関係の説明は実際に起動させながらするのが最もわかりやすい。言葉だけではなかなか難しい。オレンジアクトによると、認知症患者が462万人いると予測されているのに、専門医への受診者は数十万人に過ぎない。本人の症状が進んで、子や配偶者から病院に行くことを勧められても、
「認知症なんかじゃない。大丈夫だから」
と断るケースが多いという。早期受診すれば対応の仕方も違ってくる。アプリを使えば、認知症の疑いの有無がつかめて病院に行きやすいというのである。疑いあり、という結果が出れば、地域の医療機関なども紹介してくれる。高瀬さんによると、年齢や性別などによっても違いはあるが、認知機能検査(MMSEと似た長谷川式テスト)で30点満点中の20点以下の人が「疑いがあります」になるという。
軽度認知障害(MCI)と診断され、すでに早期治療を始めたぼくにとっては今さら必要はないアプリだ。しかし、年齢のいった祖父母や親を、近親者が本人に無理強いしたり傷つけたりせずに調べるには便利かもしれない。
※週刊朝日 2015年9月18日号より抜粋