映画「蒲田行進曲」でブレークし、演技派として活躍し続ける平田満さんは、大学の演劇サークルで妻・井上加奈子さんと出会った。しかし、彼らは付き合うことなく、結婚に至ったそう。
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――演劇仲間から夫婦へと変わるきっかけはなんだったのだろう?
夫:ずっと芝居ばかりしていて……。
妻:適齢期になって気がついたら、ほかにいなかったのよね。
夫:僕は、いまはそれなりに人前でしゃべったりしますけど、当時は初対面の人とそんなにしゃべれなかった。そのなかで彼女は、数少ない友人のひとりで。
妻:密な友人でしたね。彼は若いころはもっとシャイだったんです。
夫:シャイというよりも“偏屈”でしたね。
妻:みんなで何かしていても「あれ? 平田は?」ってことがよくあった。見ると誰も気にしていないことで、一人で拗ねているとか。
夫:拗ねてはいないと思うよ? でも気さくではないし、友達に自分から「おお!飲みに行こうぜ」とは言わない。僕は末っ子だから上に引っ張られるのが楽で、主体性がないんです。
妻:リーダーシップをとって場を回すタイプではないんですね。
夫:人に命令したりもできないし、自分からケンカしたこともない。
妻:でも芝居でもほかのことでも何かに取り組むときに真面目で正直な人だな、というのはすごく感じていました。あとは独特のユーモアのセンスが合ったのかな。