個人のスペースは2段ベッドの1段のみで1カ月の利用料は10万2500円。宿泊料(3万800円)、安否確認と生活相談料(1万6500円)、光熱水料(7200円)、食費(4万5900円)、日用品代(2100円)が含まれる。

 お弁当を朝、昼、夕食すべて購入すると約1500円。揚げ物が多く野菜は少ない。出来立てではないので冷えて硬くなっている。

「『硬くて食べられない』という高齢者のために、揚げ物を切り分けてあげようとしたら、『ここには60人以上の利用者がいる。全員にやれないことは一人に頼まれてもやるな』と施設長から怒られました。高齢者に配慮しようとしてもできませんでした。木曜日の夜は毎週カレーと決まっていた。肉はほぼ脂身。僕らの世代でも、ちょっとなという感じで、カロリーってどのくらいとるんだろうなと思った。高齢者が大多数なのに、こんな食事を出すのかと思いました」

 生活保護費から利用料を引くと、手元に残るのは1万5千円から2万円ほどだ。

「入居者はほかに受け入れてくれる施設がありません。行き場がないことを逆手にとり、利用料を多くとっていました」(吉田さん)

 生活保護受給者は住宅扶助が受けられるが、公益社団法人全国賃貸住宅経営者協会連合会の稲本昭二本部事務局長はこう説明する。

「生活保護を受けている人は民間アパートに入りたくても、家賃滞納の懸念などから、大家さんから断られるケースが多いです」

 とはいえ、劣悪な環境に耐えきれず、施設から逃げ出す利用者も少なくない。

「1年半の間に、一度も布団を干していませんでした。職員がベッドの上に乗ることもためらわれるような不衛生な状況です。そこに利用者さんたちは毎日寝ていました。施設を飛び出し、帰ってこなくなる人も珍しくありませんでした。私が施設長に『こんなひどい運営ではいけない』と言うと、翌日解雇されました」(吉田さん)

(本誌・上田耕司、長倉克枝)

週刊朝日 2015年9月18日号より抜粋

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