「ウナギ味のナマズ」がお目見えした。開発したのは、マグロの完全養殖に世界で初めて成功した近畿大学。7月の「土用の丑(うし)の日」に限定販売された「ナマズ重」を、漫画家の東海林さだおさんがほおばった。「うん、おいしい。あっさりしてるね」
においは控えめで、見た目は、少し分厚いウナギ。商品化するにあたっての最大の関門は、ナマズ特有の泥臭さを消すことと歯応えを出すことだった。同大の有路(ありじ)昌彦准教授は、
「においの原因のバクテリアの少ない地下水で育て、フグのエサを参考に食感を近づけました」
いま、ウナギは絶滅の危機にあり、昨年、国際自然保護連合のレッドリストに掲載された。「コウノトリと同じくらい貴重なもの」(有路准教授)なのだ。
そんな中、完成した「ウナギ味のナマズ」。完全養殖が可能で、種苗も手に入りやすいという。救世主として、食卓に並ぶ日は近いのかもしれない。
※週刊朝日 2015年9月11日号