最近は好成績を残せず、ファンからも不安視されていたプロゴルファー・石川遼(23)。しかし、丸山茂樹氏は「相当いいフィーリングでゴルフができてる」と称賛する。
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石川遼にとって、来シーズンの米PGAツアーシード権獲得へ向け、光が見えてきました。
クイッケンローンズ・ナショナル(7月30日~8月2日、米バージニア州ロバート・トレント・ジョーンズGC)で10位に入りました。今シーズン2度目のトップ10入りです。
これで遼の賞金ランキングは130位から109位に浮上。シード権獲得の125位以内に入ってきました。シード決定のもう一つの指標である「フェデックスカップポイントランク」でも、140位から、ボーダーの125位に浮上。残り2試合でこのランクでシード圏内に入れば、高額賞金大会のプレーオフシリーズに最大4試合出場できるんです。
この試合、遼はロケットスタートを切りました。初日に6連続バーディーのあと、米ツアーで自身2度目となるホールインワン。首位で決勝ラウンドへ進んだんです。でも、大事な残り2日はともにイーブンパーで、終わってみれば10位。まあ遼の現状からして、シードをとりたいって意識が強いでしょうから、非常に難しい3日目、最終日だったと思うんです。あれがもしシード権が確実になった状況だったとしたら、決勝ラウンドでもいいパフォーマンスが続けられて、優勝争いができたかもしれない。
本人の中では、変にプレッシャーかかっちゃったのが、歯がゆかったんじゃないですか? こんないいゴルフができてるときに、なんで俺はシード争いしてんだよ、と。
遼は正直言って、成長してるとは言いがたい。一回失ってしまったものを、いま取り戻してる段階だと思うんです。テレビでこの試合を観戦しましたけど、スイングが非常によくなってきてるように見えましたね。ちょっと前に取り組んでいたことをやめて、昔の自分を取り戻そうっていう姿勢が見える。僕は結構いい感じだと思うし、本人も自信をつけてきてるんじゃないかと思うんですけどね。優勝には至ってないだけで、相当いいフィーリングでゴルフができてると思います。
調子悪いっていったって、しっかり米ツアーにいますからね。松山英樹(23)は別にして、ほかの日本の選手はいま論外じゃないですか。だから遼は立派は立派。日本のファンの人たちも、日本のプロゴルファーでさえ、いまの米ツアーのすごさを本当の意味では分かってないんじゃないでしょうか。どれだけ過酷かというのを知ってもらえると、いまの遼の位置ってのは、意外とすごいところにいるって分かります。
日本のみなさんはすぐ、英樹と比較するじゃないですか。それがよくないですよ。ちょっと簡単に言いすぎです。僕は最高峰のツアーで奮闘している遼を、もっとあったかく見守ってほしいと思います。まだ23歳ですからね。
※週刊朝日 2015年8月21日号