「あの日、報道陣に囲まれた藤島親方の最初の言葉は『栃煌山は良かった』。だけど記者たちから、アレは見苦しいんじゃないですか?と聞かれ、『見苦しいよ』となった。相撲人気が回復して満員御礼が続くいい流れ。水を差す悪い話題は口にしたくない、という意識があると思います」

 その翌日、白鵬の師匠の宮城野親方(元幕内・竹葉山)が審判部を訪れて謝罪し、親方を通じて白鵬は厳重注意に。一件落着となった。

「それにしても白鵬は、すっかりヒール(悪役)ですね」(別の相撲記者)

 確かに白鵬の、横綱にあるまじき行為は枚挙にいとまがない。去年の名古屋場所4日目の豊真将戦では相手を寄り切ったあと、右腕で土俵下に突き飛ばした。同九州場所でも照ノ富士に寄り切って勝ったあと、土俵下で背中を向けていた相手を押した。今年初場所で33度目の優勝を飾ったときも、千秋楽翌日の一夜明け会見で審判部批判を繰り広げ、大騒動となった。

「モンゴルの先輩、朝青龍の問題児ぶりと対比され、白鵬はまともだと思われていましたが、もはや朝青龍と変わりません。招待した小学生たちと写真を撮ったりしてファンサービスしてますが、かえってあざとく見えて仕方ない」(同前)。品格という言葉が懐かしい。

週刊朝日 2015年8月7日号