「その点で今回、澤をスーパーサブ的に扱ったのは佐々木則夫監督のファインプレーでした。彼女の力を認めつつ、それがフル出場90分だと疑問符が付く。だけど短時間なら……という話です。それも最初からではなく、1次リーグ第1戦は先発して途中交代、第2戦は途中出場、第3戦は先発フル出場させ、負けたら終わりの決勝トーナメントに入ると『一番厳しいときに澤の背中を見て切り替えてもらいたい』と語って試合の終盤に起用した。澤のプライドを保ち、貴重な戦力にしてました」(ベテラン記者)
聞けば聞くほど、今のなでしこの中での澤の立場が微妙であることがわかるが、彼女には彼女のリオにかける思いがあり、彼女を支えるスポンサーやマスコミも“日本代表の澤”を求めているのだ、という。
それは、なでしこにはまだまだ澤以上のスターはいない、という評価であり、リオ五輪予選に臨むなでしこのメンバー選考には、そんな選手としての力量以外の要素も加味されるのかもしれない。
先のFIFAのインタビューで「サッカーには関わりたいとは思いますが、監督にはなりたくない。2020年の東京五輪には携わりたい」とも言っていた澤。
前出記者は言う。
「日本サッカー協会は23年の女子W杯を日本に招致しようとしていて、その大会組織委員長に澤を起用するプランがあるようです。日本の顔として海外に赴いてプレゼンをするようなポストのようですね」
(本誌・長倉克枝、一原知之、永野原梨香/岸本貞司)
※週刊朝日 2015年7月17日号