ノーベル賞を受賞した山中伸弥氏が開発したiPS細胞を使って昨年、世界初の臨床研究が日本で成功。20兆円とされる再生医療の市場に資生堂、武田、富士フイルム、ベンチャーが続々と参入し、夢の治療実現に乗り出した。いよいよ到来した再生医療革命の実態をリポートする。
◇ 脳梗塞
脳梗塞を起こすと、後遺症で要介護状態になることがある。まひなどの後遺症が残ると、リハビリテーションしか有効な方法がなかったが、再生医療で脳の細胞を再生する治療薬が数年後にも登場する。
4月に東証マザーズに上場したバイオベンチャーのサンバイオと開発パートナーの大日本住友製薬は、2020年の米国での承認取得に向け、再生医療による慢性期の脳梗塞治療の臨床試験(治験)を米国で行っている。
2社などが開発を進めるのは、骨髄の中にある細胞を使い、脳梗塞で傷んだ脳の神経の再生をうながす「細胞医薬品」だ。
すでに終了した少人数の治験で効果は出ている。慢性期の脳梗塞の患者の脳に投与したところ、日常生活に目に見える変化が出るほど体の動きがよくなったという。
脳梗塞後の後遺症に効く治療薬ができれば「北米だけで1千億円の市場がある」(大日本住友製薬の広報担当者)といい、ブロックバスター(大型新薬)になると期待されている。
◇はげ/薄毛
皮膚も毛根も再生する――。再生医療のドル箱になると見られているのが、実は美容業界だ。