介護保険制度は3年に1度、見直しをすることになっている。次回の見直しは18年度。淑徳大学総合福祉学部の結城康博教授は、

「18年度改正に特命委の骨子が反映される恐れがある」と懸念する。

 そんななか、財務省主計局が4月末に公表した「医療・介護に関する制度改革・効率化の具体案」の中身が今、医療・介護の現場で波紋を呼んでいる。

 高齢化に伴い増える社会保障費は「年間8千億円から1兆円が相場」(甘利明内閣府特命担当相)。それを毎年5千億円にまで抑えるというのだ。そのためには、毎年3千億~5千億円規模で社会保障費をカットするということを意味する。

 具体案として、介護報酬の引き下げのほか、要介護1~2の介護サービスを市町村が予算の範囲内で行う「地域支援事業」に移行する。さらに、要介護1~2の軽度者が利用する車いすや歩行器、介護ベッド、手すりなど、介護保険の1割でレンタルできる福祉用具は「日常生活で通常負担するもの」として、自己負担を勧めている。ほかにも、医療、年金、生活保護など社会保障費全般で改悪が計画されている。

「財務省と特命委は裏では同じ意見。日本の財政は危機的状況なので、財務省はPBの黒字化を目指して、容赦ない社会保障費のカットを要求してくるでしょう。今年の『骨太の方針』に、具体的な歳出カットを盛り込まなかったのは、来年参議院選挙が控えているからです。高齢者層の票田を失いたくないので、選挙が終わってから大ナタを振るってくる」(介護専門アナリスト)

週刊朝日 2015年7月10日号より抜粋