漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏は、テレビ朝日系で放送中の「しくじり先生 俺みたいになるな!!」をダメな人を再生させられる番組だという。

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 過去に大きな失敗をしたしくじりタレントが教師となって、「俺みたいになるな!!」と授業をする反面教師バラエティなこの番組。

 自分の過ちを、自分の言葉で語る。これは懺悔であり、ある種のセラピーだ。

 深夜時代の当番組に登場したオリエンタルラジオの中田と藤森。一時はレギュラー番組が10本あったという彼らは、数年後にそのすべてを失った。

「天狗だと気づいた時は、もう遅い」

「皆さんが思っているより下り坂は長く暗い」

 生徒側にいるお笑い芸人にとっても、リアルすぎるこの「しくじり」。ラッスンとかゴレライ(的な人たち)は、背筋が凍ってこの番組を正視できないはず。

 そしてしくじりを晒(さら)せば晒すほど、露(あらわ)になるのは当人の人間性だ。

「世の中をなめすぎて逮捕されちゃった先生」ホリエモンこと堀江貴文は、「やっぱり挨拶とネクタイってしなくちゃいけないんだなぁ」と、相変わらずマイペースに渡る世間をなめてる様子。

 
「失言大臣」こと杉村太蔵なんて、正直地声がうるさすぎて、一刻も早くTV画面から消えてほしいと思ってたんです。ええ、この番組を見るまでは。

 議員時代「料亭行きたい」など失言を連発し、当選2週間後に謝罪会見するはめになった太蔵。しかし「いろいろ言われたけど最後まで心の中で、うるせぇと思ってました!」と笑顔で言い放つ鋼のようなメンタルと、すがすがしいまでのクズっぷりに、むしろ上がりましたよ、好感度。

 考えてみりゃ政界なんて、天狗と一発屋の「しくじり先生」ばかりだよ!

「人に頼み事されると断れない先生」ことベテランゴーストライター新垣隆は、授業の最後にこう表明した。

「新垣隆44歳。NGはありません」

 そう、「しくじり先生」は今後の本人の取扱説明書でもあるのだ。新垣氏には何頼んでもOK。太蔵はクズ扱いでけっこう。頂点からどん底に落ちた自らを生々しく語ったオリエンタルラジオはプレゼン能力の高さに注目。

 どエラくやらかしちゃった皆さん。下手に記者会見するより、この番組が最適な再生工場です。そのダメっぷりを晒してこそ蘇る。矢口真里さん、橋下徹さん、小保方晴子さん……。あなた方の授業ぜひ待ってます。

週刊朝日  2015年6月19日号