「放射能の99%以上は取り出された燃料棒の中にあり、残り1%未満が廃炉工事の対象となる原子炉本体とその周辺にあります。低レベル放射性廃棄物の除去と撤去は除染をちゃんとして、正しい取り扱いをすれば、難しい作業ではありません」
L1とL2の廃棄物は300年程度、L3は30~50年程度、地中での保管が必要とされている。現時点で廃炉ゴミの行き先はどうなっているのか。
まず、高レベル放射性廃棄物は捨てる場所がなく、全国に立地する原発のプールにたまり続けている。低レベル放射性廃棄物も同様で、現在、国内での最終処分場は、六ケ所村低レベル放射性廃棄物埋設センター(青森県六ケ所村)のみ。だが、同センターでは廃炉の過程で出るゴミは、受け入れが認められていない。そのため、廃炉作業を進めている原発の敷地内で一時保管されていることが多い。
01年から廃炉作業を始め、17年度に終了予定だった東海原発(茨城県東海村)も、ゴミの行き先が決まらないことなどから、工期は25年度まで延長された。費用も当初見積もりの545億円から885億円に増えた。
「処分場が決まらないと工事が中断して工期が延び、費用も増加してしまう。それは作業のリスクが高まることになります」(石川氏)
東海以外では、浜岡原発(静岡県御前崎市)の2基も廃炉作業が始まっている。さらに4月までに、敦賀原発1号機(福井県敦賀市)など、計5基の廃炉も決定した。
浜岡も廃炉ゴミに苦慮している。今年度から始まる原子炉周辺設備の解体工事で、中部電力は1.4万トンの低レベル放射性廃棄物が出ると試算している。それも浜岡原発の敷地内に保管する計画だ。だが、静岡県はこの計画について、「敷地内を最終処分場とすることは認めていない」(県危機管理部)と、一時保管がなし崩し的に恒久化されないようクギをさしている。中部電力も、「最終処分場は、他の電力会社と協力しながら決める」(広報課)と、頭を悩ませる。処分先が決まらなければ、工期が延びる可能性が高い。
※週刊朝日 2015年5月22日号より抜粋