「中国からお金をもらって反基地活動をやっているかのような記事を書かれましたが、事実と違います。本当にビックリしました」

 苦笑しつつ、こう本誌に語ったのは、週刊文春4月23日号の「沖縄のタブー 翁長知事を暴走させる中国・過激派・美人弁護士」なる記事で大々的に取り上げられた猿田佐世氏(38)。

 同記事では猿田氏はこう紹介されている。

≪中国との関係強化を図りながら、翁長知事とともに反基地運動を進めている「新外交イニシアティブ」(以下、ND)なるシンクタンクがある。理事に元官房副長官補の柳澤協二氏、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏らが名を連ねているが、活動の中心を担うのは事務局長の猿田佐世氏≫

 猿田氏は日米で弁護士資格を有し、米国で国際政治の修士号も取得。ワシントンでロビー活動をはじめ、沖縄関係者だけでなく、日本の国会、地方議員ら約50人の訪米などをアテンドし、日米の様々な声を外交に届けてきたという。

「沖縄県名護市にはNDに加盟していただき、稲嶺進市長の2012年、14年の訪米はお手伝いさせていただきました。翁長知事とは何度かお会いして、米国の状況についてなどお話ししたことはありますが、私が知事を動かしているなどとんでもありません。記事の『反基地運動』の表現はレッテル貼りにすぎません」

 
 さらに文春記事では、

≪猿田氏らの活動を批判しているのが、在沖縄海兵隊で渉外を担当する政務外交部次長のロバート・エルドリッジ氏だ。(略)「沖縄の不協和音に新たな役者が登場した」などとして、ウェブ上に次のような投稿をした。

「米国から政府の元高官を沖縄に招いたり、日米の間を行き来したりする活動を行っており多額の資金がかかっているはずだが、誰が資金源となっているのか、不透明だ」≫

 そして同記事では猿田氏は中国大使館公使ら幹部と≪頻繁に接触し≫、訪中。≪中国側に沖縄の情報が筒抜けになる恐れがあります≫という公安関係者のコメントも掲載された。

「中国大使館の公使とお会いしたのは1回だけ。また、私たちが昨年7月、訪中し、様々な方と意見交換したことは、フェイスブックで公表している話です。海兵隊次長の話を引用し、批判しますが、彼は更迭されたと報じられています。NDは会員の皆様からの年会費やシンポジウムにおける寄付などを活動資金としています。活動費がかかるようにみえるのかもしれませんが、使うのはお金ではなく知恵です。現在、NDは中国からの加盟、寄付などはいただいておりません」

 週刊文春編集部に取材すると、「記事に書いてある通りです」との回答だった。

(本誌取材班)

週刊朝日 2015年5月8-15日号