作家の室井佑月氏は、自民党の門博文衆院議員との路上キスが週刊誌で報じられた中川 郁子農林水産政務官について彼女の気持ちがわかるという。

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 戦後70年の節目の年の8月15日に発表される「安倍談話」。国内からも海外からも、その内容がどんなものであるかと関心が寄せられている。

 安倍首相はやる気まんまん。談話の内容について検討する有識者会議「21世紀構想懇談会」のメンバーを、16人も集めたそうだ。

 でも、知ってた? べつに戦後の10年ごとの節目に、談話を無理に出さなくていいんだってね。じゃ、出さなくてもいいじゃん、と思うのはあたしだけかな。

 安倍さんも大変じゃないか。国内のお仲間を喜ばせれば、それは海外から叩かれるような内容になるだろう。逆に、海外の人が納得するようなものだったら、彼のお仲間は腹立たしく思うだろう。

 じゃ、やんなきゃいい。が、やっぱりこういうところで目立ち、存在感を示したいのか。刺激が欲しいのか。せっかく総理になったんだし、といったとこか。

 けど、中東で存在感を示してきて、その後、エライ目に遭ったじゃん。エライ目に遭ったのは安倍さんじゃないけどさ。うちら日本人がテロの標的に指名されてしまった。

 そうなんだよ、安倍さんが安倍談話で海外勢の反発を食らうようなことをいえば、エライ目に遭うのはまわりまわって、結局、あたしらなんだわさ。

 
 まあ、そんな話は置いといて、中川郁子さんの路チュー問題。

 あたしらの血税から賄賂を貰い平気な顔している政治家より、チューで騒がれるほうがまだマシだ。相手は結婚している男らしいが、チューくらいしてもいいではないか。

 あたしは、彼女の夫が泥酔会見問題で大変だったとき、報道陣もいる玄関の前で「お父さん、日本一!」などと叫んだ彼女が嫌いじゃない(政治家としてではなく、女としてです)。

 ただし、彼女は亡き夫の弔い合戦で選挙に勝って政治家になったわけだから、亡き夫の顔に泥を塗るような真似をするな、って怒る支持者もいるだろう。

 あたしはそれでもなんとなく彼女の気持ちがわかる。亡くなった有名政治家の妻ってだけで政治家になってしまった(あ、これは問題か)。政治をやりたかったわけじゃないし、誰もそんなに期待していないから、緩い日常がつづく。ちょっと刺激的なことが欲しかったんだよね。

 それも今はすっごく後悔しているだろう。入院して時間稼ぎなんてしないで、辞めちゃえばいいのに。お金に困ってそうでもないし、なにがなんでも政治家でいなきゃいけないわけじゃないでしょう。

 3.11が起こってから、あたしたちは変わらない明日がどんなに素晴らしいことかわかった。結局、わかってないのは政治家だけなのかもしれない。彼らは生活に困ることもないからさ。

 みなさん、刺激を求めるのはいいけど、やっぱり国民の金を使い国民のために働いている、って忘れないでいて欲しいのよ。

週刊朝日 2015年3月27日号

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