2月28日の施政方針演説で「憲法改正に向けた国民的な議論を深めよう」と呼びかけた安倍晋三首相に対抗し、小沢一郎生活の党代表(70)が同日、所属国会議員らを対象にした「日本国憲法講義」を開いた。会場には、生活の森ゆうこ代表代行(56)や谷亮子参院議員(37)など一部の側近は姿を見せたものの、秘書の代理出席が目立ち、記者もまばら。

「晋三さんの、96条改正だけを先にやってみたいというのは、学問的、論理的、理念的にへんちくりんな議論だと思う」

 小沢氏は首相の改憲構想を一刀両断にしてみせたが、質疑応答で森氏から、「日本維新の会の石原慎太郎共同代表のような『(連合国に押しつけられた)今の憲法を捨てる』という主張は筋が通っているんでしょうか」と聞かれると、苦笑しつつこう回答。

「うーん、憲法の無効論は理屈上は正しいと思うが、石原さんの主張に僕は生理的には賛成ではないな。制定されて70年近くなり、憲法の理解も定着しているので、新しく作り直す必要性は感じていないね。だが、今の実態にそぐわない部分もあるので、えーー、そこだけ改正するという点については冷静な議論の中では大いに結構だと思う」

 護憲なのか改憲なのかよくわからない難解な講義が延々と続くなか、会場内ではコックリ、コックリと船を漕ぐ御仁が続出。ICレコーダーを置いて鼾(いびき)をかく記者までいる。

週刊朝日 2013年3月15日号