「逮捕される夢みた。怖かった」。斧(おの)を手に女性を殺害して逮捕された名古屋大1年の女子学生(19)は、その9カ月前、自らの運命を予感するような言葉をネットに書き込んでいた。凶悪犯や毒に憧れた頭脳明晰な少女の心の闇に迫った――。
高校に進学するころにある“変化”があったと、中学時代の同級生が話す。
「急に男っぽい格好や話し方になり、自分のことも『俺』と呼び出した。男に間違えられたと喜んでいた」
高校でもやはり理系科目が得意で、学内では成績中位のコースながら名大に現役合格。
「女子では東北大を目指す人が多いが、本人が仙台から出たかったらしい」(高校の同級生)という。
大学の同級生はこう話す。
「普段は明るく楽しい子だが、それと毒物知識にギャップがあった。昨夏には『タリちゃん、タリちゃん』と口ずさんでいて、何かと聞いたらタリウムのことだという。京都で起きた筧千佐子被告の殺人事件についても、ネットで検索していたら朝になっていたくらい夢中だったそうです」
Aの犯行について精神科医の町沢静夫氏はこう分析する。
「Aは(自分が人と違うという)苦しみや孤独を感じていたのではないか。死にたいという気持ちが根底にあるが、それが無意識のうちに他人を傷つける方向に向かってしまった。サイコパス(精神病質)と言っていいと思います。過去の殺人犯に夢中だったのは、みんな自分に似ていて、一人ではないと感じられたからでしょう。彼らが起こした犯罪を模倣した面もあると思う」