やしきたかじん氏(享年64)が亡くなってから1年が過ぎた今も、妻のさくら氏(33)と親族の間で、“骨肉の争い”が続いている。その火種となったのは、さくら氏を取材し、たかじん氏の最期の日々を描いた百田尚樹氏のノンフィクション本『殉愛』だ。
『殉愛』によると、たかじん氏の遺言書には、遺骨は二分し、大阪とハワイに埋葬すると書かれていた。
だが、たかじん氏の長女や他の親族たちは、いまだにたかじん氏がどこに埋葬されたのか知らされていないというのだ。親族は言う。
「一周忌なのに、お墓があるのかどうかすらわからない。昨年5月に亡くなったたかじんの実母も、結局、墓参りができないままだった。遺骨はさくら氏が持っているから、こちらは何もできない。さくら氏側から最近ようやく、親族の一人に接触があったとは聞いていますが、いい加減に何とかしてほしいです」
別の親族もこう訴える。
「昨年7月には、北新地にたかじん氏の銅像を建てる計画があると報道されました。お墓の前に銅像の話が出るなんて、あまりにもおかしいと感じた」
一方、たかじん氏の長女(41)は1月19日、東京弁護士会に人権救済申し立てを行う予定だ。
長女は『殉愛』の中で、父に冷たくあたり、父の遺産目当てに行動する人物として描写された。こうした記述で名誉を毀損されたとして昨年11月に出版元の幻冬舎を相手取り出版差し止め訴訟を起こしたが、その後も、百田氏はツイッターで次のような挑発ともとれる発言を繰り返した。
《名誉毀損で訴えられてもいいから、敢えて書く。たかじん氏の娘は、父の二年間の闘病中、看病はおろか、見舞いにさえ一度も来なかった。看病はすべてさくら氏に任せっきりだった》(2014年11月30日)
本誌12月19日号のインタビューで長女が「百田さんから取材の申し込みもありませんでした」と訴えた後も、百田氏はこうツイート。
《(たかじん氏は)長女に対して「あいつには一円もやりたくない!」「あいつはそんな態度を取ってけえへんかった!」と憎々しげに語っている。他にも彼女に対してひどい言葉を書き連ねたメモもある》(同12月17日)
長女が訴える。
「『殉愛』の記述で傷つけられて訴えを起こしたのに、追い打ちをかけるように脅しのようなことを書かれ、強い恐怖を感じました。一時は精神的に追い詰められ、ふさぎ込んでしまった時期もあります。裁判所に救済を求める以外に術がなかったのに、裁判を起こしたことでさらに脅迫されている。百田氏の発言は暴力です」
長女の出版差し止め訴訟は、21日に第1回口頭弁論が行われる。法廷で真実は明らかになるのか。
(本誌取材班=上田耕司、小泉耕平、福田雄一、古田真梨子、牧野めぐみ/今西憲之)
※週刊朝日 2015年1月30日号