編集部より:
『今回から、最近の新しい潮流であるガールズたちの紹介、インタビューなどの連載がはじまります。その中には、メジャー・デビュー前の人たちもおり、固有名詞を聞いてもイメージのわかない読者も多いと思います。また、会場名なども、ユニークな名前のところもあります。たとえば、「月見ル君思フ」は、イベント会場の名前です。編集部の判断で、アーティスト名などについて、リンクを貼ることにしました。興味を持っていただいた読者は、それぞれのアーティストのオフィシャル・サイトを見ていただきたいと思います。また、多くのサイトで、アーティストの動画を紹介しています。それらを見ていただけると活動の内容が、よりわかると思います。では、新連載、「GIRLS!now」をお楽しみください。』
最近、ガール・グループ系のライヴに行くのが日課と化している。
今年に入ってから見たものをいくつか、我が「2012年4月始まり 能率手帳」から拾ってみようか。おお、1月2日には中野サンプラザでモーニング娘。、℃-ute、Berryz工房などが集まったコンサート(いわゆるハロコン)を楽しんでいるぞ。「要注目の新人=田﨑あさひ」ともメモしてある。たしかこの日、彼女の公式デビュー・ステージだった。どこが要注目なのかは、追って書くことだろう。
5日は代々木公園でSUPER☆GiRLSの無料ライヴを見ている。妹分のCheeky Paradeが歌う演目で、なによりびっくりさせられたのはファンの複雑怪奇な声援だ。猛烈な読譜力がなければ成立しないのではないかと思えるほどシンコペーションの込み入ったコールが、一糸乱れず繰り出されるさまは感動的ですらある。この声援、「チキパMIX」というらしい。MIXの種類や醍醐味についても、追って書くことだろう。
6日は東京ドームでKARA。ぼくがKARAの存在を知ったのは08年頃、教えてくれたのは某音楽雑誌の編集長だった。「今、韓国でアイドル・ブームなんですよ」と、いくつかのガール・グループの画像の入ったDVDをくれたのだ。「原田さん、どれが日本で一番売れると思いますか?」「うーん、売れるかどうかはわからないけどKARAが一番好みですね」。そのあとの大躍進は歴史が証明するとおり。
10日は、よみうりホールで行なわれた警視庁主催の無料イベントにいった。実はぼくの親戚、というか父の兄は警察関係者である。ぼくも10代の頃、巡査の試験を受けて柔道やらなにやらの実技もパスした。が、父の兄が「お前は警察に向かない。どんくさすぎる。死ぬぞ」と猛反対、その反動でもないがアナーキーな雑文稼業を続けて今に至る。で、なんでぼくがこのイベントにいったのかというと、婦警姿の川島海荷さんが見られる、またとない機会だったからである。つまり、うみにーは「一日署長」だったわけですね。今度はかわりに警察署長が「一日アイドル」をやってみてはどうかとも思った。
13日は昼間、日本青年館でSUPER☆GiRLS。その後、東京FMホールに移動してアップアップガールズ(仮)を楽しんだ。出費はかさんだが、このエキサイトメントは決してカネには替えられない。スパガとアプガをハシゴできる機会など、またとない。ジャンケンをして勝ったほうが負けたほうの頭を洗面器ごしにピコピコハンマーで叩く大会で新井愛瞳さんが勝って、他のメンバーの顔に墨で落書きしていたが、最後には自身も落書きされていた。真っ黒の顔、カピカピ状態の皮膚で超アップ・テンポの曲を歌い踊るアプガの7人には前衛パフォーマンス集団の匂いがした。
14日は大雪だったが、ひめキュンフルーツ缶(from愛媛)が見たかったので人間雪かき機と化して渋谷のライヴハウスに行った。20日は表参道の月見ル君思フで、夢みるアドレセンスの定期公演を見た。歌、即興芝居(観客からテーマをつのる)、詩の朗読などからなるライヴは、なんというか、見る者を実にほっこりさせるサムシングに溢れているのだった。
長くなるので間をはしょって、29日はアップアップガールズ(仮)の出演するイベントを見るために川崎CLUB CITTAに行った。この場所、プログレッシヴ・ロックの聖地でもあるのだがアプガもしばしば登場する。31日は恒例の「虎ノ門道場」。5人組新人アイドル・グループ、ベイビーレイズによる無銭イベント。ぼくは始まった頃からできる限り見ているが、回を重ねるごとにグループのスケールが大きくなっているのが本当によくわかる。
2月最初の日はZepp TokyoでBABYMETALを見た。あの「イジメ、ダメ、ゼッタイ」で世界のメタル・シーンを震撼させた3人組だ。「おねだり大作戦」は、聴いていてあまりにも幸せすぎて意識が飛びそうになった。3日は渋谷まで「皮茶パパワンダーランド」を見に行った。皮茶パパがプロデュースするKGY40Jr.は、鎌ヶ谷の町おこしを担うガール・グループ。しかしライヴではメンバーは踊るだけ、かわりに皮茶パパがマイクを握り、リード・ヴォーカリスト的な存在として君臨する。ライヴの最後で必ず登場する「グッドモーニング鎌ヶ谷」は、ブルースの大定番「スウィート・ホーム・シカゴ」を思い出させる。[3/27(水)につづく]