宮内庁は11月13日、ホームページに「週刊文春」の記事の訂正を求める文章を発表した。宮内庁が問題とするのは、週刊文春11月13日号に掲載された「雅子さま“復活の笑顔”『晩餐会(ばんさんかい)』直前に掛けた一本の電話」という記事。雅子さまが妃殿下として「決定的に自信を喪失した」要因の一つではないかとして、帯状疱疹(ほうしん)で入院する2カ月前の03年10月のできごとを挙げる。

 それは、来日したメキシコ大統領を迎えた宮中晩餐の前席で、天皇陛下が大統領に皇族を紹介する際、「雅子妃を飛ばして、秋篠宮殿下に移ってしまった」ことで、雅子さまがショックを受けたという内容だ。雅子さまはその後11年間、晩餐会に出席しなかった。

 これに対して、宮内庁は、「事実に反し、陛下に対する礼を失する」と訂正を求めた。その際、宮中晩餐の手順を詳細に説明したうえで、異例なことに秋篠宮さまを証言者として登場させている。

「秋篠宮殿下に伺ったところ、(略)これまで国賓をお迎えした際の陛下の皇族御紹介で何か手順と異なることを陛下がなさったという記憶は全くなく、皇太子妃殿下を飛ばして自分が紹介されたということは決してないと思う」

 この宮中晩餐の話は、同誌がこれまでも報じていたが、訂正要求は出ていなかった。宮内庁幹部によると、「繰り返し報道され、事実として定着することは見過ごせない」ということのようだ。

 確かに、元宮内庁職員の山下晋司氏が、

「ご家族だけの私的な場ではなく、元首として国賓を接遇する場面で、そうしたことがあれば、お客さまにも大変失礼な話です。まずあり得ないと思います」

 と話すように、天皇陛下が雅子さまの紹介を飛ばすとは考え難い場面ではある。

 一方で、この異例の訂正要求は、「秋篠宮さまに確認を取るのであれば、なぜ皇太子ご夫妻に確認を取らないのか」という疑問も生じさせる。このため、宮内庁側(両陛下や秋篠宮さま)と、東宮側(皇太子ご夫妻)との対立構図があるのではないかとの臆測も呼びかねない。

「週刊文春」編集部は、宮内庁の訂正要求については黙したままだ。

 もし、雅子さまの病気の要因に“誤解”があったとしたら、この一件によってわだかまりが解け、快復へのきっかけとなることを願いたい。

週刊朝日 2014年12月12日号より抜粋