大宮:鳥肌立ちました。満席に見えて。
隈:あれね、寂しくないようにしたいって思って。ロンドンのスタジアムを見に行ったら、オリンピック後はイベントをしてもポチポチしか人が入ってなかったりしてさ。祭りの後みたいな感じでめちゃ寂しい。少子高齢化の時代、オリンピックの後はチョボチョボのイベントが多いわけだから、それでも、なんか幸せな気持ちになってもらえるかなと思ってモザイクの案を出したの。「寂しくない」っていうのは、僕のテーマなので。寂しい建築は嫌いで。
大宮:寂しい建築って?
隈:真っ白な、大きなのがボーンとあるようなの。寂しいじゃない。
大宮:そうですね。威圧感あって、巨大なものがぽつんは寂しいですね。
隈:ごちょごちょと、家具や緑などノイズがいっぱいあると、それなりに楽しいよ。気楽でいられる。
大宮:水槽も水草いれて隠れ家つくってあげると魚が落ち着きますね。
隈:そうそう。でも、露骨にノイズノイズしてるとさ、新しい建築造ったのに、もうごみだらけじゃんみたいに言われるから、バランスですよ。
大宮:なるほど。結局無観客でしたけど、引き絵になるとワーッて声が聞こえるような気がしたんですよね。
隈:それね、工事中に現場に行ったときも、よく、「あれ、今日何かやってんの?」と思った。自分でも分かってるはずなのに。
大宮:(笑)。
隈:選んだ色がね、単にモザイク状にいっぱい色を選んだっていうのじゃなくて自然に光と影になってくれる、落ち葉が散った野原みたいな色を選んだ、それがよかったねぇ。
(構成/編集部・井上有紀子)
※AERA 2023年2月20日号