朝ドラで「伝助萌え」を起こした吉田鋼太郎(よしだこうたろう)さん(55)を筆頭に“遅咲き実力派中年男性バイプレーヤー”たちが今、ドラマをおもしろくしている。
週刊誌にテレビコラムを連載するライター吉田潮さん、コラムニストの辛酸なめ子さんとも真っ先に挙げたのが、「半沢直樹」で強烈な印象を残した香川照之(かがわてるゆき)さん(48)。
「『ルーズヴェルト・ゲーム』でも憎たらしい人生の勝ち組を演じたが、実は地味で真面目で自己評価の低い小市民をやらせたらピカイチなんです。決して二枚目ではないのに、年齢を重ねるなかで“味のある顔”になっている」(吉田さん)
辛酸さんもその顔に注目して絶賛する。
「シワで演技しているんです。女性にとっての大敵を、男性には魅力的な武器になると証明した」
シワ枠で記者が推すのは現在、「孤独のグルメ」(テレビ東京系)で主演する松重豊(まつしげゆたか)さん(51)だ。このドラマは基本的に、松重さん演じる主人公が眉間に2本太い縦ジワを刻みながら「一人メシ」するだけの単純な話で、深夜放送だ。にもかかわらずジワジワと人気を得て、現在シーズン4を放送中。「HERO」(フジテレビ系)でも、キムタクが仕えるキレやすい上司・川尻部長検事役をコミカルに演じている。
「ほとんど脂肪のない顔や体にうっすらと張った皮膚感がいい。女のニオイがせず、枯れ感と虚無感、そして人情味が同居している」(吉田潮さん)
さらに「円熟系」といえば、志賀廣太郎(しがこうたろう)さん(65)。1月からの放送で好評だったドラマ「三匹のおっさん」(テレビ東京系)で北大路欣也さん、泉谷しげるさんとともに堂々主演を張ったが、実は俳優デビューが45歳と“遅咲き”派。最近では日清カップヌードルのCM「壁ドン篇」で少女マンガ風に描かれるなど、“枯れかわいい”中年俳優の代表格だ。吉田潮さんが言う。
「バーコードの頭髪を除けば顔も声も超ダンディー」
朝ドラ「あまちゃん」の大ヒットで注目された劇団「大人計画」からの注目株は、「HERO」で警備員から出世した井戸事務官役を演じる正名僕蔵(まさなぼくぞう)さん(44)だ。
「顔とたたずまいが松本清張作品っぽい。昭和30年代感を醸し出しています」
そう分析する吉田潮さんが“目が離せない”と太鼓判を押すのが野間口徹(のまぐちとおる)さん(40)。「あまちゃん」での胡散臭い地方局ディレクターやコント番組「サラリーマンNEO」などでのコミカルな演技から、実直なサラリーマン、さらに犯人役まで幅広くこなす旬の人だ。
「間の取り方が絶妙。特に『鶴瓶のスジナシ』の即興演技は最高で、実力を再認識しました」(同)
お肌ツルツルの若い男子にはない色気、シワ、枯れ感、たたずまい、味わい深い演技力を持つ中年俳優たち。秋の夜長、「ネクスト伝助」を探してみては?
※週刊朝日 2014年8月29日号より抜粋