性的少数者の人たちが参加したレインボーパレード(c)朝日新聞社 @@写禁
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 お母さんが、ある日を境に、「お父さん」になった──。2人の子どもを育てながら、50代にして「男性」になることを決めた性同一性障害の人がいる。40歳のとき、「男になりたい」と夫に告げると、夫は絶句。「家族」という形を続けながらも、男性として生きる道を探り続けた。46歳で胸を除去する手術を受け、その2年後、男性ホルモンの注射を打ち始めた。新潟県に住む佐藤光さん(仮名、51)だ。

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<2004年に施行された性同一性障害特例法により、2人以上の専門医の診断と、一定の条件をクリアすれば、戸籍も変えることができる。その条件とは、(1)20歳以上(2)現在、婚姻関係を結んでいない(3)現在、未成年の子がいない(4)生殖機能がない(5)変更後の性別に近似する性器の外観を備える──こと。

 法務省によると、13年3月末までに3903人が変更した。

 だが、佐藤さんのように結婚後、戸籍を男性に変える場合、ややこしくなる。
 現に婚姻をしていないことが条件のため、子どものために今の夫と結婚生活を続けたくても戸籍上、不可能になるのだ>

 完全に「男」になるため、娘が20歳になるのを待って名前も戸籍も変えたいと思っています。だけど、今のままでは離婚は避けられない。法律上無理だし、夫にも、こんな自分とでなく、きちんとした女性と第二の人生を歩んでもらえたらと思う。今、最も心配しているのは、子どもたちへの説明。見た目が変わっていくことでなんとなく気づいているようだけれど、近くにいる分、言いづらい。娘は以前、自分のクラスに性同一性障害の子がいると話してくれたのですが、そのときは自分もそうだとは言えませんでした。

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