1次リーグで日本の対戦相手となるコートジボワールとギリシャの選手は、“ヒゲメン”だらけ。特にギリシャは、哲学者を思わせる立派な風貌がズラリ。さてはヒゲを伸ばして験担(げんかつ)ぎと思いきや……。

「偶然の一致でしょう。日本人に比べて一般的にヒゲの人が多いので」と、ギリシャ大使館のスタッフに一蹴。

 ひるがえって、今大会のサムライたちは、本田圭佑、香川真司、内田篤人と見事に“つるつる”ばかり。しかし、4年前の南アフリカ大会は、楢崎正剛、中澤佑二など、ほぼ全員がヒゲを生やしていた。

「80年代の加藤久、90年代はラモス瑠偉がサッカー界のヒゲ先駆者でした。以降しばらくヒゲ選手は途絶えていたのですが、それを復活させたのが中田英寿。“茶髪・もみあげ・ヒゲ”というスタイルを確立しました」

 そう分析するのは、理容師やカミソリメーカーに勤めるプロ集団“ヒゲ倶楽部”リーダーの丸山尊人さん。02年の日韓大会では、「坊主・ヒゲの小野伸二」や、「長髪・ヘアバンド・ヒゲの故・松田直樹」などお洒落系ヒゲメンが活躍し、ファッションとしてのヒゲが定着していった。「チームリーダーが代わるとヒゲの流行も変わるというのは日本人らしいですね(笑)」(丸山さん)

 世界のヒゲ事情はどうか。

「ヨーロッパでは、昔からヒゲはセクシーの象徴。イタリア人は積極的に生やしています」

 そう話すのは、9月創刊予定のシニア雑誌「MADURO」の岸田一郎編集長。サッカー選手は身につけるものがユニホームだけなので、ヒゲが重要な要素になるという。では、今大会で注目のヒゲメンは?

「モード界ではワイルドな“フルベアード”スタイルがはやっています。イタリアのピルロはまさにそれ。ベルギーのアザールは、もみあげと顎ヒゲをつなげたリンカーン大統領風の“リンカニック”。ブラジルのフッキは彫りの深い人が似合う無精ヒゲスタイルです」(前出・丸山さん)

 岸田編集長は、番外編としてチリ代表のホルヘ・サンパオリ監督を推す。

「ジジイだけど、かっこいい。ハゲてきたら頭はボウズにし、その代わりヒゲをたくわえると魅力的になる。その好例です」

 W杯はさながら世界のヒゲ見本市。スターたちはどんなヒゲで戦うのか。“ヒゲキ”ではなく幸運が訪れますよう。

週刊朝日  2014年6月20日号

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