民主党が目玉の一つに掲げていた教育政策。元文部科学副大臣の鈴木寛氏は「教育に関しては、3年間でできることは『ほぼやりきった』という感じです」と話す。

 一方で、この3年3カ月を振り返り、民主党の教育政策は自民党のそれと本質的にはさほど変わらない、という意見もある。教育政策に詳しいジャーナリストの斎藤貴男さんは言う。

「こと教育に関しては、公正さや公平さを理想まで近づけるのが政治の役割です。そこに経済原理を取り入れ、教育格差を認めていたのが自民党政権でした。権力者は教育への経済原理の持ち込みに対し、ものすごく慎重であるべきです。民主党政権は、教育の場の格差や経済原理の導入という点について、警戒心がなさすぎるように思います」

 高校無償化は、格差をなくす一助となる政策だ。しかし一方で、教員養成課程の修士化が実現すれば、大学院に進む経済的余裕のない人は、資質があっても先生になるのをあきらめるかもしれない。また自公政権下で、全国の全小中学校で行っていた学力テストを、民主党は「抽出調査」にしたが、来年度は再び全校調査する。これも地域間や学校間の序列化を生むと斎藤さんは指摘する。

 東京都内の小学校のある校長は言う。「学校現場を軽視する政権は困りますが、政策がコロコロ変わるのもたまったもんじゃない。教育政策は超党派で継続的に進めていただけないものでしょうか」

週刊朝日 2012年12月7日号

暮らしとモノ班 for promotion
【7/16(火)・17(水)開催 Amazonプライムデー】先行セール商品一部公開中!年に一度の大型セールで何が安くなる?