東大の前期日程、京大の合格発表が終わり、高校や予備校の関係者が注目しているのが、全国各地での公立高校の躍進だ。東大に公立高トップとなる35人を送り込んだ日比谷(東京)、一挙に13人増の岡山朝日、12人増の水戸第一(茨城)。昨年に比べて大幅に合格者数を伸ばした高校の、それぞれの「必勝の法則」を探った。
公立高校で前期の東大合格者数のトップになったのは日比谷(東京)で、同校としては2010年以来となる30人の大台に乗せた。昨年、44人を送り込んで首位に立った浦和・県立(埼玉)をおさえて、堂々の1位だ。だが、学校側は冷静そのもの。進路指導部主任の臼田浩一教諭は、
「昨年度から授業内容やカリキュラムに変更はありません。一方、今年度は校舎の改築工事があり、校庭に建てたプレハブ校舎での授業をしなければならないという環境の変化がありました。それをものともしない精神的なたくましさが合格者の増加につながったのかもしれません」
2001年、東京都の「進学指導重点校」に指定されて以降、通常の授業の他に、生徒が自主的に受ける土曜講習や夏季講習を実施。07年には文部科学省のSSH(スーパーサイエンスハイスクール)の指定校になり、さらに優秀な生徒が集まるようになった。
「文化祭やクラブ活動などを十分に楽しめる子ほど、合格しやすい傾向にあります」(臼田教諭)
今年は、合格者が急増した学校も多い。岡山朝日は13人増え、水戸第一(茨城)は12人増えた。今年初めて2ケタに乗って、13人が合格した長崎西は11年の1人から大躍進だ。3年前、「東大クラス」を新設。センター試験後には、経験豊富な教師の下で、地元に残っていた浪人生も教室で一緒に勉強させた。
「現役と浪人がそれぞれ刺激し合って、よい関係だった。入学当初は東大志望者が2、3人しかいなかったが、教師が『高みを目指そう』と言って、生徒の意識を変えてきた」
進路指導主事の堀光教諭は、感極まった様子で喜びを口にする。同校の卒業生でアナウンサーの草野仁さんからは「おめでとう!」とメールが届くなど、大いに盛り上がっている。
※週刊朝日 2014年3月28日号