「真紀子もうまいこと言うね。僕はまさに暴走老人なんだけど、なぜ暴走しなければならなかったのか? 一緒に考えてほしい」
日本維新の会代表・石原慎太郎氏は11月17日、大阪で維新の面々にこうあいさつした。その暴走ぶりは、橋下徹氏も想定外だったようで、四苦八苦している。
20日に日本外国特派員協会で講演した石原氏は、尖閣諸島をめぐって対立する中国への対応に関し、「個人の考え」と前置きしつつも、こうぶち上げた。
「日本はね、核兵器(保有)に関するシミュレーションぐらいやったらいいよ。これが外交上、一つの抑止力になる」
維新内部にも、この暴走発言を不安視する声はある。
「橋下さんと松井一郎幹事長は右傾化で支持率アップを狙っているようだが、議員の多くは本当にやばいと感じている。選挙後どうなるか、心配だ」(国会議員)
「橋下独裁」だったころの維新は、党綱領の維新八策を“踏み絵”とし、合流希望の国会議員らに100%の賛同を求めてきた。ところが、石原氏がトップに就くやいなや、「企業・団体献金禁止」や「脱原発」といった看板政策が次々と消えるジレンマに陥った。
企業・団体献金禁止が腰砕けになった理由を聞かれた維新の平沼赳夫国会議員団代表(旧太陽の党共同代表)は、「石原代表は『企業・団体献金を禁止するなら、まず、労働組合の献金を禁止すべきだ』という筋論を言っており、(大阪も)採り入れざるを得なかったと思う」と淡々と述べた。維新の別の国会議員も言う。
「もともと企業・団体献金禁止には維新内部でも反対意見が多かった。地方はともかく国会議員になれば、選挙でカネがかかりますからね。それでも橋下さんたちが押し切って決めましたが、石原さんたちに諭され、折れざるを得なかったんでしょう」
※週刊朝日 2012年12月7日号