3月7日、別人のような風貌で、ゴーストライターによる“代作疑惑騒動”後、初めての会見を行った佐村河内守(さむらごうち・まもる)氏。ファッションデザイナーのドン小西氏が会見時のファッションチェックを行った。
* * *
いきなり別人に変身しちゃったから忘れてたけど、この人は今まで、ロングヘアとヒゲにサングラス、そこに黒ずくめっていうイデタチでカリスマ然としてたんだよね。その手の風貌の人は、ファッション業界には山ほどいるんだけどさ。彼らを観察すると、ファッションを、本当の自分を隠すための小道具としかみてない人も多いんだよ。
たしかに視線も見えなければ、顔もよく見えない。黒ずくめじゃ、その人のセンスも本性もわかんないもんな。それでいて、カリスマ性や神秘性も手軽に演出できる便利な格好。本当は自分を隠すんじゃなくて、表現するためのファッションを、舐めんなよと思うよね。
この人もそう。ヒゲをそっても、七三分けにしても、どっか演出くさいじゃない。その証拠に、この日のスーツはピークドラペルのダブルっていう、ロン毛時代から着ていたもの。ほかにこの手のスーツを着ていた人といえば、石原慎太郎くらいしか思い浮かばないもの。つまり、やたら偉そうで、謝っちゃいないよな。人のいいおじさんに見えたけど、ファッションってほんと正直なんですから。
※週刊朝日 2014年3月21日号