ロシアの面積は1710万平方キロメートルで、世界ナンバーワン。日本の面積の約45倍という、だだっ広いロシアのどこにソチはあるのだろうか。

 日本からは飛行機で約10時間でまずはモスクワに到着。さらに2時間半で、ソチ・アドレル空港に着く。

 空港に降り立つと、そこは意外にも「最北の亜熱帯」だ。南北に150キロの長さを持つ人口40万人の街。19世紀にロシアの領土となる前は、グルジア王国やオスマン帝国に領有されていた歴史を持つ。

 気候は温暖湿潤で、2月の平均気温は6度。東京とそれほど変わらない。緯度は日本の最北端、北海道稚内市と同じ北緯45度。夏は昼が長く、冬は夜が長い。

 今回の五輪では午前9時開始の種目もあるが、実は現地の日の出もこのころ。日本時間から5時間マイナスすると、ソチ時間になる。

 おもな会場は、海側と山側に二分されている。

 黒海沿岸部の会場「コースタルクラスター」には、フィギュアスケートなどの屋内競技施設が集中する。

 海側から特急列車「ラーストチカ」に30分ほど揺られれば、コーカサス山脈の中腹に山間部の会場である「マウンテンクラスター」が見えてくる。

 ソチの別名は「夏の首都」。夏場の平均最高気温は27度で、国内有数のリゾート地だ。市内中心部には、歴代大統領の夏の別荘「ボチャロフ川」もある。

 また海と山に囲まれたソチは、豊富な食材に恵まれた「美食の街」でもある。ちなみに黒海対岸のトルコは世界3大料理の国だ。

 ロシア料理の老舗「ロゴスキー深沢カフェ」(東京都世田谷区)では、ソチを含むコーカサス地方の料理を味わえる。

 前菜の「クリーミーチーズペーストの焼きなすロール」はベーコン、くるみ、マッシュルームなどを酸味が爽やかなチーズペーストで和え、焼いたナスで巻いてある。乳製品と野菜類はソチの特産品だ。

 肉は羊が好まれている。肉の串焼き「シャシリク」は、柔らかくてジューシー。野菜と肉がきっちり交互に配されているのが微笑ましい。お好みでスパイスが利いたトマト味の「アジーカソース」を添えて。

 料理にあわせるのは、隣国グルジアの赤ワイン。コーカサス地方はワイン発祥の地といわれている。野菜に肉に赤ワイン。これらはアスリートにうってつけ。

 ソチ料理は、まさに金メダルの味わいなのである。

週刊朝日  2014年2月21日号