松たか子さんの澄んだ声で笑う飾らない表情に、現場の空気がふわりと優しくなった。
22年ぶりに上演される串田和美演出の伝説の舞台「もっと泣いてよフラッパー」に出演する。この作品は、中学生のころ初めて自分の意思で見にいった。強い思い入れがある。
1920年代、禁酒法時代のシカゴが舞台。松さんは田舎から上京した踊り子を演じる。
当初は、自分が見た当時のものを超えられないと思いとまどった。
「毎日難しいなぁ、と悩みますが、がんばっていかないことには次に進めないので」
音楽稽古は半年も前から始まった。練習量も、目指す完成度も高く、必死な毎日を過ごす。
「困ることが割りと好きなんです。何なんだって思うことに対して、ワクワクします」と話す表情から舞台にかける意気込みを感じた。
※週刊朝日 2014年2月14日号