乳酸菌やビフィズス菌が入って健康にいいと言われるヨーグルトや乳酸菌飲料だが、菌の働きは腸内環境を整えるだけなのか。健康面への効果は他にないのだろうか。

 実は、各社がさまざまな試験を繰り返している。ヤクルト本社は2011年、感染リスクが高まる傾向が強い持久系種目のスポーツ選手を対象に、乳酸菌シロタ株を飲むことでかぜの発症割合に変化があるかどうかの研究結果を発表した。広報室の河見浩司郎さんによれば、乳酸菌シロタ株が入った飲料と、味や外見だけ同じ疑似飲料を飲む二つのグループに分けて、16週間、毎日飲んでもらった。

「その結果、疑似飲料を飲んだグループでは90%が発症したのに対し、乳酸菌シロタ株が入った飲料を飲んだグループでは66%の発症にとどまりました」

 適度な運動は免疫効果を上げるが、激しくなると逆に低下しやすい。ストレスを抱えたり病原体にさらされやすい環境にいたりする人にとっては、かぜ予防の期待につながりそうだ。

 ノロウイルスの集団感染を起こしやすい高齢者施設での試験では、乳酸菌シロタ株を飲んでいたグループは、飲まなかったグループに比べて「ノロウイルスの感染による発熱日数が短かった」という。

 雪印メグミルクも、乳酸菌のガセリ菌SP株に、インフルエンザやロタウイルス感染を防ぐ効果が期待されると発表している。

「インフルエンザに感染すると肺にダメージを受けますが、マウスにガセリ菌SP株を投与すると肺の抗ウイルス遺伝子の発現に変化が起きました」(広報担当)

週刊朝日 2014年1月24日号