驚異の粘り腰から急転直下、猪瀬直樹氏が東京都知事の職を辞し、自民党をはじめ各党は急ピッチで選挙態勢を整えつつある。
投開票日が2月9日に決まったこともあり、短期決戦のため、知名度優先の候補者選びとなりそうだ。
自民党で最初に取りざたされた候補は橋本聖子参院議員だった。冬季、夏季計7回の五輪出場を誇り、2014年2月のソチ冬季五輪の日本選手団団長にも決まっている。東京五輪の招致でも汗をかいた。
「次の都知事は五輪の成功が最重要課題です。五輪に造詣が深く、対外的な顔として最適格だと森喜朗元首相が積極的に橋本さんを推しています。知名度もありますし、勝てる候補です」(自民党幹部)
自民党にとって橋本氏を担ぎ上げたい理由はもう一つある。橋本氏であれば、消費増税実施直後の補選を避けられるのだ。
通常、国会議員が辞職すると4月下旬に補選となる。だが橋本氏は参院比例区の選出で、繰り上げ当選だけで済む。
先の臨時国会では、政権の強硬姿勢がクローズアップされ、内閣支持率は10ポイントほど下落。さらに増税実施が加わり、補選はかなりの注目を浴びることになる。万が一、敗北でもしようものなら、安倍政権の屋台骨を揺るがしかねない。
「野党がだらしないとはいえ、安全策をとりたいのが本音です。衆・参院選で大勝しただけに、勝ったとしても票差が注目されるでしょうし」(同前)
一方で、下村博文文部科学相の名前も挙がった。安倍晋三首相(59)の側近で、政権としても安心して都知事に送り込める。
だが12月20日に開かれた自民党東京都連の会合で、この2人に加え、丸川珠代参院議員については「本人が固辞している」との理由で擁立を見送った。
こうした動きを横目でみているのが小池百合子元総務会長だ。
「やる気満々です。出るなら最後に手を挙げると口にしています。今の安倍官邸とソリが合わず、このまま議員をやっていても将来がありませんから」(周辺)
このほか自民党では「前々からどこかの知事狙い」といわれる片山さつき前総務政務官の名前も挙がっている。
※週刊朝日 2014年1月3・10日号