秩父の札所を回る巡礼者たち(写真はイメージ) (c)朝日新聞社 @@写禁
秩父の札所を回る巡礼者たち(写真はイメージ) (c)朝日新聞社 @@写禁
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 四国霊場八十八カ所巡り以外にも、全国にたくさんある「巡礼地」。マイペースで無理なく行けるとろもあれば、心構え一つで修行に変わる山登りもある。一方、こうした霊場は、地域の人々にとっては、“心のよりどころ”になっている。東北では、被災者の心のよりどころの復興を目指す動きも出てきた。

 東日本大震災で大きな被害を受けた「気仙三十三観音」は、岩手県の陸前高田市、大船渡市、住田町にまたがる。33カ所中9カ所で、観音像が流されたり観音堂が崩壊したりした。

 その復興を目指し、地域と東京の僧侶らでつくるNPOが手を携え、「祈りの道」と名づけて全国にアピールしている。10月27日には、行程16キロの「徒歩巡礼」を初めて開催する。陸前高田市観光物産協会の實吉義正副会長(70)は、観光客も含む県外の人たちに関心を持ってほしいと呼びかける。

「仮設に暮らしたり家族を失ったりと、今ほど、私たちのなかで『祈り』の気持ちが募ったことがないんです。歴史の背後にある祈りを、一緒に巡礼しながら感じてもらえれば」

 登山は根強いブームだが、ファン層は中高年から“山ガール”など若い世代や女性たちへ広がっている。日本は国土の65%が山地で、標高207メートルの「伊豆山」(秋田県大仙市)から世界遺産登録された最高峰「富士山」まで、100を超える霊山がある。

 そのうちの一つ「高尾山」では毎年10月17日、秋季大祭が開かれる。修験道の山伏や僧侶、稚児らが参道を練り歩くパレードは見もので、薬王院では無病息災を祈願して護摩が焚かれる。

週刊朝日  2013年10月25日号