外は雨だが、子どもたちは体育館の中で元気いっぱいだ。高い天井でバスケットもできる。窓の外からは子どもを見守れ、安全のために鍵もかけられる。

 東京都西東京市にあるマンション「グランジオ武蔵野」(558戸)。約3万平方メートルの広大な敷地にある大庭園がウリ。ほかにもミニ体育館やジム、カラオケルーム、ミニシアター、キッチンスタジオ、コンビニがあり至れり尽くせり。ジム・フィットネスルームの利用料は1回100円。専門業者と提携し、インストラクターもいる。

 消費増税を前にマンションの購入熱は高まっている。「3・11」を機にマンション選びのポイントはより防災を意識したものに変わっているが、それだけでもない。モノを持たない暮らしがしたい。コミュニティーが充実していたほうがいい。住民がマンションに求める付加価値も変化し、そうした要求を先取りした共用施設を付設したマンションも増えている。

 体育館は意外に建設費・維持費が安いうえ、「災害時には拠点となり防災施設として役立つ」(山下伸介「SUUMO新築マンション」編集長)と、人気上昇中。管理組合の集会などにも利用できる。

 大阪府吹田市で建設中のマンション「ミリカ・ヒルズ」(633戸)も体育館「スーパーアリーナ」(400平方メートル)を備える。バレーボールやバドミントンのコートのほか、プロジェクターや音響設備もあるため、集会や映画上映、発表会にも使える。「温泉やプールも検討しましたが、維持費を考えて見送りました」と保川愛一郎・大京商品企画部長は言う。

 もうひとつのウリは、英語を使った街づくりだ。例えば、外国人に英語で注文できドルでも支払いができるインターナショナルカフェや、ゼロ歳児から入れるバイリンガル保育園、ドル両替サービス、世界の絵本や児童書が読めるライブラリーがある。子育て世代を意識して、子どもが番組作りを体験できるラジオスタジオや専門家が指導する共同菜園もある。

 大京の岡本史夫プロジェクトリーダーは言う。

「狙いは明確で、世界に羽ばたく子どもに育てるため英語やプレゼンの能力を高めてあげたい」

AERA 2012年10月22日号