2020年の東京五輪の開催が決まったことでアベノミクスが加速し、景気回復するとの期待が再び高まっている。五輪まであと7年。日本経済にはバラ色の未来が待っているのか。「20年は『戦後最長の景気拡大』を更新している可能性がある」と予測するのは、嘉悦大学の高橋洋一教授だ。
高橋氏によると、五輪の開催が決まった国の政府は、対外的に「格好をつけるため」、国際社会で印象がよくなる政策を進めたくなるという。世界に開かれた規制のない国だとアピールしたいからだ。前回の東京五輪のときは、日本はOECD(経済協力開発機構)に加盟し、その後の貿易を拡大させた。
「建設工事などは一時的な景気の浮遊策にしかならない。だが、こうした貿易政策などは、経済効果が大きいうえ、長期的な成長に貢献する」(高橋氏)
現状の日本に当てはめると、TPP (環太平洋経済連携協定)参加による貿易拡大や、規制緩和を受けたカジノ構想の実現などによる税収の大幅増などという。
「これらが実行できれば、物価の変動を含めた名目GDP(国内総生産)は年4 %成長し、20年に700兆円規模に達することも夢ではない」(同)
そのとき、国民の生活はどうなっているのか。気になるのは我々の給料だ。第一生命経済研究所の永濱利廣主席エコノミストは、「うまくいけば、会社員の平均給与は年間30万円程度のアップが期待できるでしょう」と予想する。
「法人税率の引き下げや雇用の規制緩和といった成長戦略を実行することが大前提。そして原発再稼働問題の解決や経済連携協定の促進なども行い、持続的に景気が拡大していなければなりません」(永濱氏)
※週刊朝日 2013年9月27日号