夜が明けてから滑り込んだ。本誌連載でおなじみだった「伝説のトレーダー」こと藤巻健史・元モルガン銀行東京支店長(63)だ。「日本維新の会」の公認で比例区当選。編集部は「残念な結果だったら連載再開も」とひそかに考えていたが、これで「藤巻節」は国会に場を移す。その前に選挙戦を振り返ってもらった。

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 個人的には、苦しい戦いでした。維新の橋下徹共同代表が5月13日、「慰安婦制度は必要なのは誰だってわかる」などと発言したことも影響しています。

 事情を全部知っているわけではありませんが、政治家としては、練れていない発言だったかもしれません。「これがなければ楽だったのに」と思ったこともありました。

 さらにこの発言がもとで、弟(みんなの党の藤巻幸夫参院議員)と共闘できなくなったのも痛かった。みんなの党との選挙協力が解消されてしまいましたから。弟と一緒に選挙カーに乗って、一緒に握手して――という運動をやりたかった。

 橋下さんに対しては、「責任を取って立候補すればどうだろう」なんて思ったこともありました。出てくれれば、維新はもっと獲得議席が増えたはずです。この発言で「アンチ」は増えたでしょうが、ものすごく好きな人も多いですから。橋下さんとは握手をしたことぐらいしかありません。でも、橋下さんが東京に来たときには大勢の人が写真を撮ったり、東京でも人気が高いのには驚きました。

週刊朝日 2013年8月2日号