東日本大震災後、初の衆議院選が終わった。自民党の圧勝という結果だったが、作家の室井佑月氏は安倍晋三総裁などの発言に対して、危機感を募らせている。

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 選挙戦が繰り広げられる中で、安倍さんはこんな発言をしていた。「日本国憲法の前文には『平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しょうと決意した』と書いてある。つまり、自分たちの安全を世界に任せますよと言っている。自分たちが専制や隷従、圧迫と偏狭をなくそうと考えているわけではない。いじましいんですね。みっともない憲法ですよ、はっきり言って」

 そうなの? 解釈によってはそう読めるの?

 あたしが心配なのはその先だ。この件では連携もあるという日本維新の会の石原(慎太郎)さんが、日本人拉致問題について、街頭演説で、「憲法9条のおかげで同胞を見殺しにした。あんなのがなければ、日本は『とにかく返してくれないと戦争するぞ、攻めていくぞ』という姿勢で取り戻せた」と、そこまで言った。

 この二人が連携すれば、日本はかなりマッチョな国になる。意見が通らなければ喧嘩上等!みたいな国だ。

 安倍さんは、自民党の支持者が国民全体のわずか2割ということを忘れないで。そして、石原さんは第三極の躍進を邪魔した迷惑な人だってことを、誰かが本人に伝えてほしい。

週刊朝日 2013年1月4・11日号

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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