安倍晋三次期首相(58)は12月20日に自民党政務調査会の幹部会を開き、「政権」として本格的に動きだした。

 今や「一人勝ち」状態の安倍氏は、肝心要の人事でも着々と手を打っている。

 顕著なのが総裁選を争ったライバル、石破茂幹事長(55)の「無力化」作戦だ。7月の参院選に向けて、知名度の高い石破氏を幹事長に留任させたものの、組閣や党役員人事については相談せず、蚊帳の外に置いているのだという。

「石破さんが安倍さんに対して何の影響力もないことが世間にもわかってきたのか、幹事長への来客が、めっきり少なくなった。安倍さんが人事で相談している相手は、副総理兼財務相になる麻生太郎元首相(72)と、官房長官に内定している菅義偉幹事長代行(64)です」(党関係者)

 石破氏が無力化しているのは、安倍氏からの「完無視」だけが原因ではない。意欲を燃やしていた、新人議員119人の教育についても空回りしている。石破氏は衆院選翌日、「新人当選者各位」にあてて「あいさつまわりを何より優先し、徹底すること」と指示する文書を送信。さらに「国会召集日の前日夕刻(25日)、党本部で方針や課題について説明会を開く」とも記した。つまり新人教育は幹事長である自分がやる、というメッセージを発したわけだ。しかし、「誰も一顧だにしていません。すでに各派閥で新人を囲い込んでいるし、上京も呼びかけている。幹事長室主導の新人教育など関係ない」(閣僚経験者)。

 自らも無派閥の石破氏は、「新人は派閥に入る必要はない」と公言しているが、ある派閥の領袖は、「何事も本音と建前があるからね。安倍さんもその辺はわかっているだろう」と、自派閥の副大臣と政務官の推薦リストを作成している。

 総裁のバックアップがない幹事長など怖くはない、という空気が党全体に広がっているのだ。

週刊朝日 2013年1月4・11日号