選挙戦前に、多くの党が乱立。こうした状況でどのように判断し投票すべきか。投資家で、京大客員准教授を務める瀧本哲史氏は次のようにアドバイスする。

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 現行制度では最多の12党が乱立し、どこに一票を投じればいいか悩んでいる。そんな有権者が多いようですが、結局は候補者自身の資質を判断して投票するしかありません。どの党が第1党になっても、他党と連立を組んで交渉していかざるを得ず、公約がそのまま実行されることはないからです。

 ですから、「TPP」や「脱原発」など、自分に関心のある争点だけで投票先を決めるのはやめたほうがいい。政策で選ぶのなら、「実現してほしい公約」を掲げる政党に投票するのではなく、「実現してほしくない公約」を掲げている政党には入れない、という判断をすることが大切です。

 だいたい、政党が特定の公約を掲げているからといって、その党に属している候補も同じ考えだとは限りませんよね。候補者個人や支持者を見なければ、政策で選ぶという場合も投票先は決められないはずです。

 もう一つ言いたいのは、投票だけでは世の中は変わらないということです。

「選挙民は投票日だけ王様であとは奴隷」。こんな言葉がありますが、投票に行くだけでは、まさにこの言葉どおり、選挙が終わると「奴隷」になってしまう。

「投票」という行為だけでは、「行動したつもり」「政治にかかわったつもり」でしかありません。政治にかかわって何かを変えたいのであれば、日常的にある議員を応援するとか、ロビー活動をするとか、もっと積極的に政治に関与していくしかない。

週刊朝日 2012年12月21日号