自民党が政策のひとつとして掲げる「土曜授業」の復活。しかし、これに現場の教師や生徒は困惑しているようだ。
〈土曜授業を実現します〉
自民党が総選挙向けに作成した「J-ファイル2012 総合政策集」の29ページに、そう書いてある。
「いやいや、もうすでに始まってるんだけど」
中学校の英語教諭Aさん(33)は思わず突っ込みたくなった。Aさんが勤務する東京都では、2010年に都教育委員会が公立小中学校に対し、地域に開かれた公開授業であることを前提に、月2回までの土曜授業を認めた。現在では、都内の小中学校の4割以上が年間6日以上の土曜授業を実施し、Aさんの学校でも月1回のペースで続けられている。
正直、しんどい。土曜日に出勤する分、平日に余裕ができるわけではない。むしろ公開授業の準備で仕事量が増えた。土曜授業の3コマが終われば、午後は部活。日曜が部活で埋まるのもよくあること。幼い息子と、週末さえろくに顔を合わせられないのがつらい。
土曜授業でやりきれないのは、出席率が平日より下がることだ。部活の大会日程などは極力調整されるが、塾や学外のクラブ活動などで休む生徒がいる。夏にはクラスの約3割が欠席した日も。Aさんは言う。
「出席する生徒も欠席する生徒も、たぶん土曜授業に対しては複雑な気持ちだと思う。負担も大きいし、続ける意味がわからない。自民党が土曜授業を増やすのなら、一度、実態を見に来てからにしてほしいです」
※週刊朝日 2012年12月14日号