9月12日、新党「日本維新の会」の結成を宣言し、乾杯する橋下徹・大阪市長ら (c)朝日新聞社
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9月12日、新党「日本維新の会」の結成を宣言し、乾杯する橋下徹・大阪市長ら (c)朝日新聞社
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 天下取りに向けて華々しくスタートしたはずの橋下新党「日本維新の会」に、早くも「大コケ」の予感。生き残りのために民主党などを離党して集まった面々にも暗雲が立ちこめる。

「最悪の結果だよ」

 自民党総裁に安倍晋三元首相が返り咲いた瞬間、新党「日本維新の会」の幹部の一人は思わずこう漏らしたという。

 代表の橋下徹大阪市長は「選挙がある以上は戦わざるを得ない」と「独自路線」を強調したが、改憲、教育改革といった保守的な価値観が一致する安倍氏に維新の会が接近した事実は知れ渡っている。対立軸がぼやけ、親近感を抱く安倍氏が「壁」になる、という皮肉な展開だ。

 そもそも9月12日の正式な新党旗揚げ以降、維新に集まっていた熱気が急速に冷めているように見える。

 最初にそれを鋭角的に伝えたのは、フジテレビ系の報道番組「新報道2001」だ。毎週、政党支持率を番組内で調査しているが、次期衆院選での比例区投票先を「維新」と答えた人が9月13日の9.4%から、20日には4.8%へと半減した。

 この調査は対象が首都圏だったため、維新関係者は、「維新は大阪の人のためにやっているから、首都圏の数字は関係ない」と強気の構えを崩していないが、維新にとっては決戦前の息切れを示す不吉なデータであることは間違いない。

 全国紙の世論調査でも、毎日新聞では2桁の支持率があるものの、朝日、読売両紙では、支持率は2~3%。民主、自民両党に水をあけられている。

「体感温度」の変化を示す証言もある。自民党の宗清皇一・大阪府議は、「橋下市長、松井知事は公私混同?」「『身内に甘く、他人には厳しい』橋下市長」

 などと、維新批判をブログで展開している。以前は橋下氏を批判すると、1週間に40通ほどの抗議のコメントが寄せられていたが、「今はゼロ。維新の風はやみました」と話す。

AERA 2012年10月8日号