橋下徹大阪市長(43)率いる「日本維新の会」にとって、安倍晋三元首相(58)の存在は“疫病神”であったようだ。
コトの発端は、大阪市内で9月23日に開かれた維新の第2回公開討論会だった。有識者として参加したジャーナリストの田原総一朗氏から竹島問題を突っ込まれた橋下氏は、マイクを手にこうまくし立てた。
「威勢のいいことばかりを言ってもダメ。(韓国が実効支配している)竹島は武力ではひっくりかえせません。竹島が日本固有の領土という主張は曲げないが、シビアに国益を考えれば、決着を国際司法裁判所に委ね、韓国と竹島の共同管理をめざす方向へ持っていくべきでしょう」
熱愛のころは「尊敬できる方」と安倍氏を持ち上げていた橋下氏の態度は一変。「威勢のいいことばかり」のくだりは、領土問題に強硬姿勢を打ち出した安倍氏への批判とも聞こえる。
そんな橋下発言に維新の議員は不快感を隠さない。
「僕ら維新の会の初期メンバーは究極の保守で、領土問題は最終的に戦争を覚悟して臨むべきものと考えている。橋下さんは『戦争する覚悟が日本人にはないから、共同管理しかない』と合理的な意見を言ったんだろうけど、それはあまりに平和ボケ。領土主権に対する僕らの考え方は、橋下さんとは違うが、安倍さんは同じ意見だ」
※週刊朝日 2012年10月12日号