投資助言会社「フジマキ・ジャパン」の代表を務める、“伝説のディーラー”藤巻健史氏は、日本経済について「世界一の劣等生」だと見る。
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国力の通信簿と言える名目GDP(国内総生産)が80年以降、日本は1.9倍にしか増えていない。一方、米国は5.4倍にもなっているのだ。ちなみに中国は155倍、韓国は31倍である。
さらに言えば、80年代後半の日本にはバブル期があったから、1.9倍に増えたのだ。バブルが崩壊し始めた90年と比べると1.04倍と、日本の国力は全く伸びていない。米国は2.6倍、中国は25倍、韓国は6.4倍である。日本の情けなさが目立つ。
こういう分析を見れば、国の運営に何か「根本的な間違い」があるのではないかと、ふつうはあわてるものだ。それなのに日本の政治家、エコノミスト、マスコミは、大本営発表のように理由もなく「日本経済は強い」と言い切ったりする。能天気と思わざるを得ない。
日本は世界一の劣等生になってしまった。それもGDPに対する比率で先進国中最悪の借金によってやっと、いまの生活レベルを保っている状態なのだ。その結果、馬車馬のごとく働いて返さなければならいほどの借金を子・孫・ひ孫に押し付けてしまった。
枝葉末節な改善という次元の話ではない。「日本経済の実態は最悪である」という認識のもと、「市場原理が発達していないので、円が格段に高くなりすぎたせいだ」というのが私の分析だ。
※週刊朝日 2012年10月26日号